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タイ・イサーン記1
ウボン・パーテムの先史時代の壁画
タイ入国が済んで、いよいよ、イサーン高原の旅が始まる。
木の柵を潜ると、
「タクシー?」
と男が寄ってきた。
「幾ら?」
「800バーツ」
「500」
「600」
もうタイに入ってしまったのだから急ぐ事はない、
断って、道路に併行してギッシリ並んでいる市場に入る。
国境を自由に出入れ出来る地元の人達でいっぱいだ。
市場を抜けた所で、また、
「タクシー?」
と来た。
「幾ら?」
「600」
「500」
車を確認すると、さっきのとは大違い、真新しいトヨタカローラ、
運ちゃんも律義そうな青年、人柄も良さそうだ。
そのまま乗り込もうとすると、青年が私を押し止める。
彼の指差すのはミグレーションらしい。 これにも助かった。
さっきの出国も今度の入国も、飛行場のような関門は無い。
そのまま、バンコクまで行ってしまっていたらえらい目に会うところだった、冷や汗ものだ。
土地の人が自由に出入れ出来る国境は要注意だ。
ミグレーションオフィスに入ると、係員は悠々と食事をしている。
標示には、8:00ー11:00、13:00ー16:00とある、今、13:20。
先客二人もじっと待ってる、暫く待って、入国カードに記入、
「100バーツ」
に、500バーツ出したら、
「サンキュウー」
と、係員は横を向く。
じっと待っていたら、400バーツの釣を放り投げた。
「そのくらい、チップ寄越せよ」
と言う顔だ。
ウボン
走り出すと、ラオスの道とは雲泥の差がある。
完全舗装、標識もしっかり、道筋の民家も心なしか垢抜けている。
快適なドライブの1時間半でウボン、
東西500kmもあるイサン高原の東に位置する都会だ。
ウボンでどうしても観たいのが、先史時代の壁画が有るパーテム。
運チャンと1000バーツで交渉成立、明日か明後日に電話する事とする。
目当てのホテル、500バーツを400バーツで落着。
20畳くらいの部屋に大きなベッドが二つ、
AC、タブ付き風呂、冷蔵庫、シーツも皺一つ無く真っ白、申し分ない。
一服して一眠りして屋台探訪。
レストランで、ビール、ラーメンスープと言ったら、
ビールとラーメンとスープを持ってきたのには参った。
両替、10000円が3043バーツ、1$が35.9バーツ。
セブンエレブンで、
ハイネッケン缶ビール | 34B |
SINGHA壜ビール | 27B |
マイルドセブン | 43B |
蒸留水 | 5B |
アルカリ電池*4 | 80B |
凄いタイ式按摩
街をうろつく、「○○の歩き方」に出ている地図が間違っていて混乱。
レストランのバーミーが40Bに対し街中では20Bで食べられ、しかも美味しい。
洗髪して、夕立上がりの夜店見物、大通りの歩道が全て屋台で埋まる。
旅人は殆ど見当たらない、皆、地元の人達のようだ。
焼き鯰とビールで上機嫌でホテルに戻り按摩。
これがまた凄まじい。
ジョイナーを二廻りくらい小柄にしたような筋肉質のおばさん、
全身を使っての格闘技のごとくに、肘、膝を使ってマゾもどきに痛めつけられる。
これがタイ式按摩と言う奴なのだろう。
でも、あとがすっきりだ。
先史時代の壁画
有名といわれている超起飯店のチョクと呼ばれる朝粥、重湯に近い。
いろんな香料が入っているようだ、かき混ぜると玉子も入っている。 仲々いける。
10時きっかりに運チャン、20代前半、名前はSUTUS君、がロビーで待っている。
パーテムまで1時間半、トヨタカローラは快調に飛ばす。
途中で目に入ったのは、茸状の奇岩、2、30mの高さがあるだろうか、壮観だ。
サオ・チャリアンという溶岩が固まって出来たものだそうだ。
この辺りを少し入ると、こんな奇岩が林立しているとか。
この付近一帯は、タイの国立公園に指定されている。
メコン河から反り立った絶壁の上に畳敷きのような岩の台地が広がる。
その表面は、長年の風雨の寝食で波状に何処までも凹凸が続いている。
その岩の台地から岩壁に沿って急な石段を200mも下ると、
2000年から3000年前と言われる壁画群が姿を現す。
象、牛、人の鮮やかな描写、先史の人間の手形もくっきりと生々しい。
フランスのラスコー洞窟の手形と全く同じイメージだ。
、偶然とは思えない。
人間の考える事に共通点が有ったのだろうか。
その当時に、ここタイとフランスのラスコーの間で文化の交流があったとは思えない。
ただ、ラスコーは万年前のオーダー、此方は千年のオーダー、
人類のルーツと言われるアフリカにも、多くの壁画が残されていると言う。
素人考えだが、一世代を30年として、一世代に300km移動するとして、
一万年だと、333世代*300km、地球を覆ってもおかしくない距離では有る。
中国や南米でも数多くの壁画や洞窟画が、現在なお、発見されているところも多いと聞く。
覆いかぶさるような岩に何かがぶら下がっている。
説明してもらったが理解できない、何か珍しい物らしい。
絶壁の下に広がる森林、その向こうにムーン河(メコンの支流)が流れる。
若いと思ったSUTUS君、一児の父親だそうだ。
カローラは485000B。
自分の車だと言っていたが、一日1000B稼ぐとしても、
485日、元を取るだけでも大変なものだ。
と言いながら、明日のカオプラヴィハーン行きを1000Bに値切る。
「家族の皆さんに夕飯御馳走するよ」
と誘ったが、姿を現さなかった。
続く
タイ・イサーン記1 | ウボン・パーテムの先史時代の壁画 |
タイ・イサーン記2 | カオプラヴィハーン遺跡 |
タイ・イサーン記3 | スリン・象の街 |
タイ・イサーン記4 | パノンルムン、ムアンタム、バーンプルアン遺跡 |
タイ・イサーン記5 | スリンの夜 |
タイ・イサーン記6 | ピマーイ遺跡 |
タイ・イサーン記7 | コラート・蝋祭り |